18年ぶりにカナダのトロント国際映画祭に参加した。最初の参加は「萌の朱雀」の公開の年であるから1997年にさかのぼる。作品自体はいつも招待を受けているのだが、この時期は「なら国際映画祭」ともバッティングしてなかなか行くことができなかった。
新設会場でも変わらぬ思い
今年40回目の節目を迎えたこの映画祭は、数年前に映画祭の本部を含む上映会場を新設した。あまりの変わりように18年前の面影が全くなく戸惑っていたが、この映画祭が観客のみなさんの「映画を愛する想い」で成り立っているのは変わらない。
私の監督作「あん」(2015年)は500席ほどのホールで上映されていたのだが、映画の前半は会場からの笑いが絶えず、一緒に見ていた私まで声を出して笑い転げていた。映画の中盤、主人公の徳江さんを演じる樹木希林さん(72)が、働いていたどら焼き屋を去ることになる場面ではすすり泣く声が…。映画が終わる頃には、会場から惜しみない拍手がわき起こり、エンドクレジットの音楽が聞こえなくなるほどだった。