済州島事件に関しては2000年に特別法が整備され、被害認定/名誉回復/調査報告書発行などが行われた。4.3平和公園に▽記念館▽慰霊館▽犠牲者発掘遺骨奉安館が建てられ、慰霊碑や犠牲者刻銘碑も悲しみを誘う。しかし、真相究明は2000年代半ば以降、保守派と非保守派の「政治的歴史観」の違いも在り、進展していない。実際、地元知事らの出席を請う陳情を受けた4月3日の67周年追悼式に、保守派の朴槿恵(パク・クネ)大統領(63)は昨年に続き欠席した。日韓関係史ばかりか、国史も正視ができぬらしい。
像設置の前に真実を学べ
もっとも、朴大統領にはもう一つ「知られたくない歴史」がある。済州島事件制圧の出動命令が下った韓国軍部隊が部隊ぐるみで決起。他部隊と呼応し警察官や市民らを殺す《麗水(スヨ)・順天(スンチョン)事件》を起こす。彼我両側の将兵を含め8000人の軍民犠牲者を出して鎮圧されたが、軍内の南労党細胞が仕組んだ陰謀だった。徹底した粛軍が断行され、朴氏の父君・朴正煕(チョンヒ、1917~79年/後に大統領)も細胞として摘発。軍歴評価が高く死刑は免れ無期懲役となり、朝鮮戦争で軍に早々復帰している。