「せりふの覚え方の秘訣(ひけつ)は、せりふを学ぼうとするのではなく、キャラクターがどんな出来事を経験しようとしているのかを明確に理解すること」と明かしたジュリエット・ビノシュ=2015年9月5日、イタリア・ヴェネト州ベネチア(ロイター)【拡大】
そんなビノシュが、気心の知れた名匠、オリヴィエ・アサイヤス監督(60)の新作「アクトレス~女たちの舞台~」で主演を務め、改めて真正面から「女優とは何か」について考えることになった。
《国際的な大女優、マリア・エンダース(ビノシュ)が世に出るきっかけとなった舞台劇が再演されることになった。しかし、オファーが来た役はかつて演じた主役のシグリッドではなく、彼女に翻弄される中年上司。マネジャーのバレンティン(クリステン・スチュワート)と台本の読み合わせをしながらも、マリアは、シグリッドを演じる米ハリウッドの若手女優、ジョアン(クロエ・グレース・モレッツ)がどうしても気になってしまう。しかし、物語は、円熟を迎えた大女優が若さだけが武器の教養の欠片(かけら)も感じられない若手女優から激しい“突き上げ”を食らうという意外な展開に-》
解放のすべを見つけて
偉大なキャリアを積み重ねてきたビノシュにしてみれば、自分に重なる人物像に気を悪くするところもあったのではないか。恐る恐る質問をぶつけてみると、世界的な大女優にふさわしい、知性と余裕に満ちた、磨き抜かれた回答が戻ってきた。