知られざる史実を掘り起こし、映画化することで、大勢の観客に人生の糧を提供することを心がけてきたドイツのオリヴァー・ヒルシュビーゲル監督(58)。米ハリウッド進出を経て、ドイツ映画としては10年ぶりとなる新作「ヒトラー暗殺、13分の誤算」では、しがない家具職人、ゲオルク・エルザーに光を当て、ナチス・ドイツが封印してきた独裁者、アドルフ・ヒトラー(1889~1945年)に対する暗殺未遂事件の真相に迫った。
SANKEI EXPRESSのメール取材に応じたヒルシュビーゲル監督は、「エルザー=狂人というのが通説ですが、絶対に違うと思っていました。個人の自由を大切にしている男が(自由を侵害する独裁者の)間違いを正そうと立ち上がり、孤軍奮闘する姿を描きました。観客に対しては、たった一人でも世界は変えられるし、現状とは違ったものをもたらすことができる-と感じてもらいたかったのです」と強調し、自分の意志を自由に表現できる社会を享受している世界の人々に再考をうながした。