実際、ヒルシュビーゲル監督は自分の中にエルザーと似た精神を感じ取ることが多々あったそうだ。「自由な精神。例えば、僕も幼少時から体制や権威に対して反抗的なところがありました。また、僕だって自分が暮らしている街の外側にある世界をのぞいてみたかったし、旅に出ていろいろな人に会いたかったし、世界とは何かを知りたくてもっと学ぼうと考えていました。もし僕がエルザーとどこかで出会ったら、きっと友達になっていたでしょう」。ただ、監督は身の危険を顧みずに信念を貫いたエルザーのような芯の強さは持ち合わせていないし、同様の行動はとれないだろうと付け加えた。
ドイツ人として事実を
本作は、女性への暴力、拷問、絞殺…と、思わず目を背けたくなるような生々しい場面の連続であり、ドイツ本国の映画ファンの間では否定的な意見も少なからずあった。「想定の範囲です。だからなぜそんなシーンが必要だったのかをきちんと説明することに努めました。ドイツ人の映画監督として、われわれドイツ人が実際に行ってきた事実を直視し、ごまかさずに見せなければならないと思ったからです」