とりわけうれしかったのは、ドイツの若者たちがこの映画を気に入ってくれたことだった。「彼らはナチスに関する知識やナチス・ドイツ政権下のドイツの状況について説教じみた教育を受けることを好まないのです」。エルザーという魅力的な実在の人物を介在させたことで、若者たちを史実にアクセスしやすくできたのではないかと、監督はみている。
最近、若いドイツ映画監督の間では、他の題材を求める「ヒトラー離れ」が指摘される向きもあるが、監督はさらなるヒトラー関連作品の制作に含みを残した。「別にライフワークにしているわけではありませんよ。『ヒトラー~最期の12日間~』を監督したとき、ヒトラーの下調べに何千時間も割きましたが、見るもの、知るもののすべてに嫌悪感をもよおし、とてもつらい作業でしたからね。僕は『自分が作らなくてはいけないんだ!』と強く突き動かされて制作したんです。本作の脚本を読んだときもそのように感じました。もしまた使命感から映画を撮りたい衝動に駆られたら、もう一本、ヒトラー関係の作品を作るかもしれません」。東京・TOHOシネマズシャンテほかで全国順次公開。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS)