10月27日、中国が「領海」と主張する南シナ海の人工島周辺を米海軍イージス艦が航行したことに対して、米国を非難する中国外務省の陸慷報道局長。対米強硬姿勢を装う滑稽な発言は、笑いを突き抜けて痛々しかった=2015年、中国・首都北京市(共同)【拡大】
歴史を振り返っても、独裁者が内憂に際して採る選択肢は一つ。国際法を無視して、軍事膨張の道をひた走る道だ。米海軍は7月、《巨大浮島》を監視対象に加えた。150万~50万トンのスケールで、時速15~10キロで移動できると観測されている。五十数万トンを誇る世界最大級タンカーの全長460メートル/全幅70メートル/深さ30メートルと比較すれば、巨体は想像を絶する。
2500~1000メートルの滑走路やレーダー・管制システムを設け、人工島やガス田の海洋プラットホームと連携運用し、軍事根拠地網を拡充すれば東/南シナ海における中国の凶暴性は威力を増す。軍事のイロハでいえば格好の標的だが、オバマ政権は「手を出さない」し、東南アジア諸国が中国の海洋覇権を排除したいと願っても、海空軍力の劣勢や経済関係悪化を懸念して「手が出せない」。
オバマ氏が遺す最大の政治的遺産は「世界の警察官を返上」して「海洋強国建設」→「中華民族の偉大なる復興の実現」という中国の野望を加速させたことだろう。遺産と言うより、負債と呼ぶのがお似合いか。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)