舞台「バグダッド動物園のベンガルタイガー」(中都留章仁演出)。出演者の杉本哲太。(東京)12月27日まで公演(谷古宇正彦さん撮影、提供写真)【拡大】
ブロードウェー版はブラックコメディー的な要素が強かった。中都留は、現代社会の問題を深掘りする重厚な作風に置き換えた。フセイン兄弟の屋敷にあったという金の拳銃や便座をめぐり、人間たちは死後も欲望をむき出しにする。一方タイガーは食物連鎖の上部にいて、人間の子供も食べた過去に罪の意識を持ち神を探し求める。その対比から人間の愚かさ、社会のゆがみが浮き彫りになる。
劇中で語られる和訳なしのアラビア語、樹木を刈り込んださまざまな形のトピアリーが、観客のイメージを膨らませる。タイガーの杉本は、獰猛(どうもう)さを抑えた演技が、人間と動物のはざまに生きる存在を際立たせる。12月27日まで、東京・新国立劇場小劇場。(藤沢志穂子/SANKEI EXPRESS)