彗星(すいせい)の降る夜に出会い、やがてカップルとなったデル(ジャスティン・ロング)とキンバリー(エミー・ロッサム)の6年間の恋模様…。またありふれた恋愛物語かとため息をつくのは早計だろう。米国の映像作家、サム・エスメイル監督(38)が手がけた初の長編映画「COMET/コメット」は、カップルが一緒に過ごした6年間の軌跡の見せ方が斬新で、それこそが新感覚のラブストーリーと評されるゆえんでもあるのだ。
エスメイル監督は、撮りためた映像をランダムに切り取り、バラバラの映像片にした後、時系列も空間も無視し、ある意図を持って“ごちゃ混ぜ”に積み重ね、目まぐるしく物語を展開させる独特な世界観を構築してみせた。エスメイル監督はEXのメール取材に対し、「自分の編集手法を物語の構築作業となじませるために苦労しました。例えば、シーンによって物語が展開するリズムが違います。私は構成を何度も練り直しましたし、映像に添える音楽も同様に再検討の連続でした」と明かした。