「エビイモ射込み田楽」は炊いたエビイモをくり抜き、その中に薩摩黒牛の肉とフォアグラを詰め合わせた。木の芽のみそと肉とエビイモを一緒に頬張ると、口の中でまったりと溶け合わさるようで食べ応えがある。エビイモにはヒイラギの葉が敷かれ、赤や緑の万願寺シシトウが添えられてどこか“洋風”を思わせる。
蒸し物は意表を突く。甘鯛で信州の茶そばを巻いた逸品で、その組み合わせの意外感がうれしい。金時ニンジンを梅干しと一緒に炊き、香り付けをした梅ニンジンや針状にした九条ネギ、糸状のノリを絡めたダイコンおろしが添えられ、いずれも繊細な包丁遣いを感じさせる。
お焦げもおいしい釜炊きご飯
ご飯は丹波産コシヒカリにこだわり、ふんだんに載せたズワイガニなど季節感のある具材と一緒に釜で炊きあげる。強火で沸騰するまで7分、その後は弱火で12分、蒸らし15分…と計算され尽くしたご飯は蓋を取ると湯気が立ちのぼり、改めて食欲をそそる。軟らかいご飯にほぐれたカニの身が混然一体となり、思わずおかわりが欲しくなる。釜の底には焦げができ、炊飯器では味わえない素朴な味わいに懐かしさを覚える。