日蓮宗系の尼僧、鈴木日宣(すずき・にっせん)さん=2015年10月29日、千葉県内(野村成次撮影)【拡大】
私が幼い頃はまだ掃除機がありませんでしたので、どの家庭でもほうきを使って掃除をしていました。新聞紙を軽く湿らせてちぎり、それを畳にまき掃き出すときにほこりがたたないようにします。毎日のように行っていた掃き掃除でも「三が日はほうきを持たない」と教えられました。お正月は御歳神(年神様)をお迎えしてお祝いするものです。古来より御歳神は各家に福をもたらせてくださるものと考えられてきましたので、その神様を掃きだしてしまうから掃き掃除はいけないということです。また「三が日は火を使わない」とも言われています。それはご飯を炊くためのかまどにも神様がおられ、その神様と年中ご飯の用意をしてくれる忙しい主婦を休ませるためとも言われています。
今は掃除機だし、かまどのない家がほとんどなのでこのようなお話はあまりピンとこないかもしれませんが昔の日本人の多くが「わが家」に関わる神様を大事にするが故にお正月をことに大切にしてきたその心を、私たちも後世に伝え続けていくべきと考えます。