賛成多数で可決した医療保険制度改革(オバマケア)廃止法案に得意満面で署名するポール・ライアン下院議長(共和党)。だが、バラク・オバマ大統領は拒否権発動で廃止法成立を阻んだ=2016年1月7日、米国・首都ワシントン(ロイター)【拡大】
共和党優位が続いてきた下院はオバマケア関連法案成立以降、繰り返し廃止法案を可決してきたが、14年まで民主党が多数派を占めていた上院では審議が見送られ、廃止法案が議会を通過することはなかった。しかし14年の中間選挙での勝利で共和党は15年から上院でも多数を確保。今回の廃止法案では予算審議をからめる特別な投票手続きを使って、民主党による議事進行妨害(フィリバスター)を回避し、過半数の賛成で可決にこぎつけていた。
一方のオバマ氏は8日、議会から送付された廃止法案に拒否権を発動。共和党が議会で3分の2以上の賛成を集めて拒否権を覆すことは事実上不可能で、オバマケアの存続は確実だ。
オバマ氏には、低所得者への補助金提供や保険会社が病歴を理由に保険加入を断ることを禁止することなどで無保険者を減らすというオバマケアの理念は米国全体の利益にかなうという信念がある。実際、12年段階では4800万人いた無保険者は14年には3300万人まで減っており、オバマ氏は「廃止法案は時代に逆行する内容だ」と厳しく批判する。