1億総活躍国民会議に臨む(左から)加藤勝信1億総活躍担当相、安倍晋三(しんぞう)首相ら=2016年1月29日午後、首相官邸(斎藤良雄撮影)【拡大】
「労働族」の不在がネック
ただ、実際に「同一労働同一賃金」を実現するのは容易ではない。非正規の賃金を上げようと思えば、使い勝手のいい安価な労働力として非正規を利用してきた企業側の協力が必要となる。正規の賃金を下げて非正規に合わせていく方法も考えられるが、年功序列の賃金体系で生活設計を立ててきた中高年からの反発は必至だ。
現実的には、欧州の例にならい、企業側が正規と非正規の賃金差について合理的な説明ができれば一定の賃金差は認められることになりそうだが、日本流の「同一労働同一賃金」の考え方の整理はこれからとなる。物議をかもすテーマだけに、与党内からも反発が出ることも予想される。自民党の閣僚経験者は「日本社会の在り方を変えることにもなりかねず、そう簡単にできるわけがない」と断言する。
そこでネックとなっているのが、自民党に労働分野で発言力のある有力議員がいなくなっていることだ。かつては労働官僚出身の長勢甚遠(ながせ・じんえん)元法相(72)らがいたが、省庁再編で労働省がなくなって以降、厚労族議員は厚生系ばかりになっている。官邸が旗を振っても、党側の取りまとめ役が不在では、意見集約がすんなりいくか心許ない。
首相は、3月にも東京都内で開かれる1億総活躍実現に向けた対話集会に出席し、自ら「働き方改革」の重要性などを訴える考えだが、越えなければいけないハードルはかなり高そうだ。(桑原雄尚/SANKEI EXPRESS)