2011~15年までの統計では、マラウイで生まれた子供の約6%は、5歳の誕生日を迎えられない。総人口は約1600万人といわれるが、妊産婦(妊娠中から、妊娠終了後満42日未満)が妊娠・出産に関連した病気で死亡する率は、10万人に対して510人。お隣のザンビアは280人、日本では6人である。
≪変革の主役は地元民…意識変化をサポート≫
マラウイでは、自宅で出産する傾向がある。出産所は遠く、女性は家の仕事が多く外出もままならないからという。自宅出産のリスクは非常に高い。いざというときに駆け込める病院もなければ、きれいな水やタオルもないからだ。そのため、産後病気になって亡くなるお母さんや、赤ちゃんが多い。保健施設の衛生状態が悪いこと、電気や水道がないこと、慢性的な医師・看護師不足も、病院でお産をしない大きな原因だ。
WVJの関わった保健施設の一つで、井戸から水を引いている場所がある。その施設の院長が、ここ数週間水が出ないと言う。話を聞いてみると、どうやら地元の有力者が、勝手にパイプをつなぎ変えて水を盗んでいるらしい。「子供たちが生を受ける場所で、きれいな水がなかったらどうするの!」と私は院長にかみついた。すると「その有力者は魔術を使うから、報復されるのが怖くて話をしに行けない」と言う。村人も皆、その人を恐れているとのこと。「それじゃあ何も変わらない。呪うなら私を呪えばいいでしょう」と、パイプの辺りを掘り返して、実際につなぎ変えていることを確かめると、私はその「有力者」に直談判に行こうとした。