物作りの現場では、確かにいろいろな音が聞こえてくる。鏡作りの特徴的な音は、何といっても磨き作業の際に発する「セン」だ。鏡の完成までは、2~4カ月を要するという。
「魔鏡」は、磨きの技術を極限まで駆使しないと作れない。裏に模様が描かれた鏡を、ある一定の薄さにまで研磨すると、見た目には分からないが微妙な凹凸が生まれる。これが反射光の中に像を映し出す秘密だ。削り過ぎると鏡が壊れるので、「ぎりぎりが一番美しい。だから、とても難しい」と山本さん。
自分の名で情報発信
山本さんが4代目と作った「魔鏡」は、2014年に安倍晋三首相がローマ法王と面会した際、日本の土産物として贈られた。昔からの技術を受け継ぎ、次代へ受け継ぐために山本さんは、伝統的な製品作りだけでなく、時代に合った新たな物作りにも挑戦している。
その一つが、アクセサリー製品の拡充だ。これまでも鏡師の技術を生かして装飾品を作ってきた。だが、これからは、山本さんの個性を作品で“表現”する商品を作ろうと決意したのだ。このため「Ay alloy works」というブランドも立ち上げた。「Ay」は山本さんのイニシャル、「alloy」は英語で合金を意味する。