責任能力がない認知症男性=当時(91)=が徘徊(はいかい)中に電車にはねられ死亡した事故で、家族が鉄道会社への賠償責任を負うかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は1日、「同居の配偶者だからといって監督義務者にあたるとはいえないが、日常的関わりの程度から責任を負う場合がある」とする初判断を示した。
その上で、「監督する立場になかった」として、男性の妻(93)に賠償を命じた2審名古屋高裁判決を破棄。JR東海側の逆転敗訴が確定した。5人の裁判官全員一致の意見。
認知症介護をめぐり家族の責任が最高裁まで争われたケースは初めて。ただ、今回の判断は同居の有無や監護・介護実態を総合的に判断して賠償義務を検討するとしており、家族の積極的な介護参加など、在宅介護の現場に影響を与えることになりそうだ。
争点は認知症高齢者を介護する家族の監督義務。民法714条では、認知症などが原因で責任能力がない人が損害を与えた場合、被害者救済として「監督義務者」が原則として賠償責任を負うと規定している。