療育センターの新しいビルの竣工式で、各地域の民族衣装を着て出席者を出迎える子供たち。トレーナー(後列)は子供たちをマンツーマンでサポートしている=2014年11月22日、ミャンマー・ヤンゴン(日本財団撮影)【拡大】
【ソーシャル・イノベーションの現場から】
民政移管後初の総選挙が11月8日に行われたミャンマーのヤンゴンで11月22日、ある建物の竣工式が催された。「New World Therapeutic Training Centre」(ニュー・ワールド・セラピューティック・センター=療育センター)という障害児支援施設の新ビルだ。
5階建てで窓が多く、どの教室にも気持ちの良い日の光がさす。教室の机はひとつずつ間仕切りで区切られ、集中して勉強できる。屋上にはヤンゴン市内を見渡すテラスもある。
ミャンマーでは十分な障害児支援が行われておらず、適切な教育を受けられない子供が大多数を占める。そんな状況を変えようと、15年前に療育センターが設立され、トレーナー6人が14人の子供たちを支援する活動を始めた。近隣のシンガポールやインド、日本の障害児教育を参考にし、試行錯誤を繰り返しながら内容を充実させ、現在は31人のトレーナーが145人の子供たちに対し、それぞれの障害や知的レベルに合った教育を行っている。新しいビルでは、こうした障害児への支援と並行して、障害児専門の教育者の育成も行われ、今後、ミャンマーの障害児支援の礎になると期待されている。