トンネルの強度補修作業。内壁に長さ3メートルの巨大ボルトを打ち込む(JR東海提供)【拡大】
「過去に例がない工法です」と、JR東海の工事担当者は胸を張る。コンクリートに鋼板を巻いただけでは…と素人目には思えるが、なにしろ世界唯一の工法。科学的知見をもとにした独創的な工夫がふんだんに盛り込まれている。
鉄筋コンクリートのはく落は、内部の鉄筋の腐食が原因。コンクリートを空気にさらさなければ防げる。それならばコンクリートを「真空パック」にしてしまえ、というのが今回の工法の発想だ。パックを確実にするよう、樹脂材を挿入して隙間を埋める。
覆う素材に鋼板を用いた点もポイント。コンクリートの強度は鉄筋の厚さで決まる。鋼板巻きは、新たな鉄筋の挿入と同等の効果が得られるという。補強前に比べ、鉄筋の量は最大9倍に増えることになる。