トンネルの強度補修作業。内壁に長さ3メートルの巨大ボルトを打ち込む(JR東海提供)【拡大】
JR東海が大規模改修構想を発表したのは平成14年。総工費1兆971億円、平成30年から着手の予定だった。鉄橋を新たに架け替えたり、トンネル内壁の全面に鋼板を貼り付けたりする大がかりな計画で、期間中は運休が発生する見込みだった。
しかし、1日40万人が利用する大動脈のストップは、日常生活、経済活動への影響が大きい。研究施設で実物の高架橋や鉄橋を使った実験と研究を重ね、設備の取り換えをしなくても同等の効果が得られる補強方法を編み出した。工費も7308億円に圧縮、改修の5年前倒しにこぎつけた。
元気な「老人」
「今後着工する整備新幹線ならば、腐食しにくい鉄筋を使い、柱も太くするなど建設時点で新しい技術を取り入れることが可能だ。50年前に建設が終わった東海道新幹線ならではの方法を模索する必要がある」と工事担当者は話す。既存構造物を最大限生かした補強方法は、その努力の産物だ。