それでも近大は研究をやめることはなかった。そしてハマチの養殖に成功し、マダイやカンパチなど高級魚の養殖を次々と実現。クロマグロの完全養殖を成し遂げたのは平成14年。昭和45年に研究に着手してから32年の歳月が経っていた。
デリケートな魚で、生態もよく知られていなかったため、当初は水槽の壁に衝突死する問題などに悩まされたが、研究の過程で適切な飼育環境が分かってきたことで養殖の手法を確立していったという。
完全養殖したクロマグロは「近大マグロ」の商標で大学発のベンチャー企業から販売され、今や売上高は年間約28億円。宮下盛社長は「産業化が見えてきている」と自信を深めている。
完全養殖の可能性
クロマグロはマグロのなかでも最大で、大きなもので全長3メートル、体重500キロまで成長する。味が最も良く、高値で取引されているため「海のダイヤ」とも呼ばれる。このため近年は乱獲により個体数が減少し、世界的に捕獲量の削減措置が議論の的になっている。