極太トルクで楽ちんクルーズ
アクセルを踏み込んでいざ走り出すと、出足はほんの少しもたつく感じがある。
アルミをふんだんに用いて軽量化を図ったボディながら、さすがに2リッターエンジンに車重1.9トンは荷が重いか…と思いきや、一度動き出してしまえばそこからは実に力強い。ディーゼルエンジンならではの極太トルクは巨体を軽々と加速させていく。排気量から想像する以上の、あたかも空荷のトラックを走らせているかのごとくモリモリと湧き上がるトルク感は、一人で乗っているのがもったいなく感じられるほど。満員乗車、荷物満載でも余裕で走らせることができるだろう。
発進加速で一気にアクセルを踏み込み3000回転あたりまで回すと、「ウワァーン」とそこそこ大きな唸りを上げるが、その音にはさすがにガソリンエンジンのような官能性はなく、このあたりは割り切りが必要だ。
そもそもディーゼルエンジンだから、レッドゾーンは4500回転あたりとガソリンエンジンと比べて低いし、最高出力は180馬力どまりなので、高回転まで引っ張ってもグンと伸びるような加速感が味わえるわけでもない。それよりは1750という低回転から発揮される43kgf・mのトルクを存分に生かしてゆったり転がすのが心地よい。
100キロ巡行時は8速で1500回転にも満たないから、エンジン音はまったくと言っていいほどキャビン内に入ってこないし、靴の裏にかすかに感じるエンジンルームからの振動以外に、エンジンの動きを伝えるものはない。ただ、市街地走行の渋滞時や信号待ちなどでアイドリングストップから再始動する時は、ガソリンエンジンに比べると少し振動が大きいと感じた。高圧縮のディーゼルエンジンならではの特徴なのでここは慣れるしかない。
平坦路ではほぼ後輪駆動
路面状況に応じて最適にトルク配分するよう自動制御された駆動システムは、通常はほぼ後輪駆動として機能する。これはベンツ・GLCなどと同様の仕組みであり、プラットフォームを共有するセダンのXシリーズがいずれも後輪駆動であることに起因するものだ。したがって、ドライブフィールはきわめて乗用車的なごく自然なもので、その挙動に扱いにくさを感じさせるところは微塵もなかった。