社用車にするのもアリ!な乗り心地
ゆったり流すのが楽ちんなエンジンの出力特性に合わせたかのように、乗り心地は素晴らしい。試乗インプレでこれまで私が取材してきたクルマのなかで、おそらく一番ではないだろうか。ベンツやレクサスの乗り心地も良かったけれど、このF-PACEはさらに一段上という印象を持った。
接地感はしっかりありながら、大小さまざまな段差や窪みを通過したときのショックをどんな場面でも見事に吸収してしまう。うまく表現できないのが我ながらもどかしいが、ドイツ車的な剛性感とも、国産車的なフワフワ感とも違う異次元の乗り心地。わざと高速道路路側帯のディンプルの上を走ってみたりしたが、タイヤからのノイズは聞こえても、ハンドルに伝わる振動はごく僅かだった。これが噂に聞くジャガーの足回りかと思わず笑みがこぼれる。
ジャガーと言えばスポーツカーと並んでショーファードリブン(運転手付き自動車)のイメージが強いが、たしかにこの乗り心地だったらぜひ後席に乗ってみたいと思わされる。SUVだけれど重役用の社用車に採用するのもアリではないか。
輸入車のハードル下がる?浮いた燃料代で維持費軽減
ガソリンエンジンと比べて燃費がいいと上で書いたが、実際どうだったのか。満タン法で計算した実燃費はリッター当たり11キロちょっと。公称値のほぼ7掛けだが、試乗当日は梅雨の晴れ間でカンカン照りの真夏日。当然走行中はクーラー全開、燃費が悪くなるスポーツモードでの走行も含まれるうえ、1.7トンのLLサイズSUVを走らせたと考えれば、優秀な数値と言える。
過ごしやすい季節にノーマルまたはECOモードで走るなら、当然もっと燃費は良くなる。しかも燃料は軽油だから、ハイオク仕様の輸入ガソリン車と比べて燃料代はリッターあたり30円前後安い。
一例として、ここまで何度も比較対象にしてきたGLC(廉価グレードの車体価格がF-PACEと同等)と比べてみよう。GLCの公称燃費リッターあたり13.8キロの7掛けが9.38。これは私が実際に試乗取材した時と同等の数値なので、これを実質燃費と仮定する。1リッターあたりの燃料の価格は軽油100円、ハイオク130円で計算。年1万キロ走った場合、給油総量はF-PACEが909リットルで約9万円、1066リットルで約13万8千円。年間の差額は約4万8千円と結構な額になる。これだけあれば、自動車保険の支払いに充てたり、3年分なら14万円を超えるから初回車検用の費用の足しにもなる。将来の交換用タイヤ購入資金にするのもいいだろう。
輸入車というと、購入後の故障への対応や定期メンテナンスの費用がかさむ(と予想される)ことが購入決断への障害となることが多いと思うが、燃料代で浮いた分を維持費に回せると考えれば、ハードルがぐっと下がるのではないだろうか。そういう意味で、F-PACEに限らず欧州の各メーカーが売り込みを積極化させているディーゼル車は、輸入車デビューの選択肢として最適かもしれない。