座った瞬間に安心感で満たされるシート
大面積で重厚な(本当に重くて分厚い!)ドアをヌバッ!と開けると同時に素早く姿を現すオプションの電動ステップに足をかけ、おもむろに乗り込んで腰掛けてみる。試乗車はまだ1000キロも走っていない下ろしたてに近い状態だったが、運転席の座り心地はすでに固さ・軟らかさともにちょうどよく、座面と背もたれが体のラインにしっくり馴染む。背もたれが肩までしっかり届く大柄のシートは、腿、脇などポイントで支えるのではなく、全身を包み込むようにサポートするもの。窮屈さは皆無ながらサポート不足という感じもなく、運転中の安心感が高い。当然助手席も作りは同じで、同乗者は座った途端に安心感で満たされるだろう。
総液晶メーターパネルは多機能で便利だが…
メーターパネルは高級車で採用が増えてきた総液晶式。解像度も十分、表示の遅延やブレも感じられない見やすいもので、モード切り替えでナビの情報なども表示できる。使いこなせれば確かに多機能で便利だけれど、やはりアナログ式メーターと小型のサブ液晶の組み合わせがベターだと感じる。液晶のメーター表示は、どんなに美麗なグラフィックを使ってもTVゲームを想起させ、安っぽいとは言わないまでもフェイク感が残る。カメラでたとえると、多機能で便利な液晶ファインダーと一眼レフのシンプルな光学式ファインダーのような違いに近いかもしれない。
アームレストはセンタークラスター、ドアパネルともにシートと同じ素材の革張り。ダッシュボードやドアハンドルは軟質樹脂だが、シボの目や色味を革張り部分と揃えてあるので総革張りに見えて、素材に統一感がある。
インパネ全体としてははデザインに奇をてらったところがなく、いい意味でオーソドックス。他メーカーのクルマからの乗り換えでも操作に戸惑う場面は少ないだろう。
異彩を放つシフトダイヤル
そんな内装でただ一箇所異彩を放つパーツがある。シフトレバー、もといシフトダイヤルである。
これは最近のジャガー各車種に共通のインターフェースで、レバーを前後に動かしてシフトするのではなく、ダイヤルを左右に回してシフトするようになっている。正直、実際に操作してみて最初のうちはなんだがしっくり来なかった。左手首を左右にひねるという「原因」とクルマのシフトが変わるという「結果」がどうにも頭の中で結びつかなかったからだ。
しかしながら、オートマチック変速なのだから、発進→走行→駐車までシフトを操作する回数は最少で2回、車庫入れで切り返しが発生したとしてもせいぜい5回くらいしかない。レバーだろうが、ダイヤルだろうが、スイッチだろうが、操作するのは主に発進・駐車時であり、走行中にはほぼ触らないからシフトの形状など実際はどうでもよくなってくる。