最新鋭としての最大の特徴は、その連携能力だ。10式は味方戦車数台との連携プレーが可能で、部隊長が各戦車に適した攻撃目標を割り振ることもできる。互いの残弾数や残存燃料などの情報を共有できるのはもちろん、偵察ヘリなどとも情報を共有しタッチパネル式の画面に戦場の状況を表示できる。
また、危険度の高い敵が迫っているにもかかわらず、部下の車両が他の敵と交戦中などで気づいていない場合には、部隊長が部下の戦車をオーバーライド(乗っ取り)して砲を別目標に向けることも可能とされる。演習では、高速走行しながら常に砲身が一方向を指している安定性を披露した。
一方で74式戦車も見逃せない。40年前の1974年に制式採用された“老兵”で、10式や90式のように異素材を組み合わせた複合装甲を持たないため、最新の砲弾(APFSDS)に対する防御力は低いが、この演習では改めて底力をアピールした。それは、世界でも珍しい「油気圧式サスペンション」の性能だ。