日本の輸入車市場はドイツ車の人気が圧倒的に高い。日本市場における2016年度の外国メーカー新車販売ランキング(※日本自動車輸入組合発表)を見ると、1位ベンツ(ちなみに6万7485台)、2位BMW、3位VW、4位アウディと続き、シェアはそれぞれ22.6%、17.0%、16.0%、9.6%だ。米国勢ではジープが3%台で7位と健闘しているが、キャデラックのシェアはわずか0.19%。今回キャデラックの実力を実感した筆者としては、「もっと頑張って!」などと応援したくなってしまうのだが、実はこれらすべての外国メーカーを合算しても、輸入車が占めるシェアは日本市場全体の6%にしかならない。廉価モデルも展開するドイツのプレミアム御三家でも苦戦するほど、われわれ日本人は総合的にメリットの多い国産車を買っているのだ。しかも売れ筋は、取り回しと燃費に優れる軽自動車や小型ハイブリッド車である。この状況はキャデラックにとって不利だ。
「日本人にも魅力を知ってほしい」と陰ながらに応援
今後、キャデラックが劇的に販売台数を増やすのは難しいだろうが、もっと存在感を出すためにできることはある。
まず「故障が多い」「扱いづらい」「燃費が悪い」といった日本人が持つアメ車のネガティブなイメージを和らげるためのPRがもっと必要だ。今回、キャデラック5車種に試乗して、想像以上に性能がよくて(左ハンドルということ以外は)運転しやすく、燃費も悪くないと感じた。今のアメ車のレベルの高さを、日本市場で積極的にアピールする必要があるだろう。
米国と日本での価格差を埋める努力もしてほしい。CT6とCTS-Vの希望小売価格は998万円と1335万円だが、米国ではそれぞれ5万3795ドル(約597万円)と8万5995ドル(約955万円)で販売されている。日本は米国から輸入するクルマに対して関税をかけていないことを考えると、割高感は否めない。