動物も回避 安全装備や運転支援技術を試す
90シリーズは先進安全・運転支援技術の「IntelliSafe(インテリセーフ)」を標準装備している。前走車の車速に合わせて自動追従するアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)は、こちらで設定した車間距離を維持しながら走行可能。単独走行中もドライバーが設定した速度をキープするため、高速道のゆるやかな登りや下りなどスピードのコントロールが難しい場面でも一定速度で走ることができる。「すべてのクルマにACCを搭載して、一定の速度と車間で走れば渋滞が緩和されるのになあ」などと考えてしまった。
自動運転「レベル2」の「パイロット・アシスト」も試してみた。これはクルマが自動でハンドル操作を行い、直線でもカーブでも常に車線の中央を維持しながら走行を続ける機能だ。目の前のハンドルが勝手に傾きながらカーブを曲がる姿にやや違和感を覚えるが、常に車線の中心をトレースする正確なハンドルさばきに「人間よりうまいかも!?」と思わず唸ってしまった。操舵時のスムーズさを磨けば、もう言うことなし(※基本的にはデバイスに頼らず、ドライバーが責任をもって運転しましょう!)。
最近多くのクルマで見かけるブラインドスポット・インフォメーション・システム(BLIS)は、後方から迫るクルマやバイクの存在を、ドアミラーに内蔵したオレンジ色のライトを点灯させることで知らせる機能だ。筆者がこれまで不満だったのは、どのクルマもオレンジ色のライトが小さいことだった。それではBLISが作動しているのか、何か別の光がミラーに映り込んでいるのか判別しづらいが、V90はミラー外周の一部を縁取るように点灯するため(※写真参照)、ひと目で「BLISが作動している」と分かる。こういうところにボルボの安全に対する姿勢やドライバーへの優しさが滲み出ている。
国土の大半を森林に囲まれたスウェーデンらしさを感じさせる最新装備が、ヘラジカやトナカイなどを想定した「大型動物検知機能」だ。筆者はお隣の国ノルウェーの森の中を走行中に体高2メートル以上はありそうなヘラジカに遭遇した経験を持つが、実は実家のある神奈川県央エリアでもシカの群れをたまに見かけるし、夜になれば道路脇まで降りてくることもある。自然が豊かな日本ではクマやイノシシも生息しており、大型動物検知機能が役に立つ可能性は十分に考えられる。