昨年発表した大型SUV「XC90」を皮切りに、日本市場でも次世代商品群の投入を進めるスウェーデンの自動車メーカー、ボルボ。今年2月には「S90」「V90」「V90 クロスカントリー」の3車種を同時発売し、最上級クラス「90シリーズ」のラインアップが一気に出揃った。今回の試乗インプレは、その中の一台のV90 クロスカントリーを紹介する。前編ではドライブフィールや安全装備、運転支援技術の使用感をお伝えする。実用性に優れるエステートのV90をベースに、悪路走破性を高めるために車高をリフトアップした高級クロスオーバーの走りはいかに-。(文・大竹信生/SankeiBiz 写真・瀧誠四郎)
「エステート+SUV」の融合車
V90 クロスカントリーは、ベース車両のV90の車高(※最低地上高のこと。全高ではない)を55ミリほど持ち上げ、悪路を走るための専用パーツで身を固めたオフロード対応型のエステートだ。一般的には、「エステート+SUV」などタイプの異なるクルマを融合させたクロスオーバーと呼ばれる車種となる。
筆者が試乗したのは「T5 AWD Summum(サマム)」というモデルで、パワートレインは2.0リッターの直4ガソリンターボエンジンに8速ATを組み合わせている。ボルボといえば力強くて燃費に優れるディーゼルエンジンも人気だが、いまのところ日本仕様の90シリーズに「軽油」のチョイスはない。
いざ試乗車に乗り込み、V40やV60と同様にインパネ周辺のエンジンスタートボタンを探すが、あれっ、どこにもない! 「エンジンすら掛けられないのはちょっと恥ずかしいぞ…」と変な汗をかき始めたが、心を落ち着かせて周りを見渡したらセンターコンソール付近に「ENGINE」と書いてあるダイアルを発見。ブレーキを踏みながらダイアルを「START」の文字に向けて右側に回すと、「ブルン」とエンジンが始動した。
あれれ、遮音は大丈夫?
ちょっと意外だったのは、エンジン音の主張が予想よりも大きいことだ。1年前のことなのでうろ覚えなのだが、昨夏に試乗したV60 クロスカントリーのディーゼルエンジンの方が静かだったような気がする。高級車の割には「遮音が甘いのかな…」などと、やや訝しみながら山中湖周辺を目指して出発した。