同社は25年、近畿日本ツーリスト(東京都千代田区)と経営統合し、持ち株会社KNT-CTホールディングス(同)の傘下に入った。添乗員が付くパッケージツアー(募集型団体旅行)で実績を積むクラブツーリズムと、募集型個人旅行の手配を主力とする近ツー。両社間でシナジー効果を最大限に引き出すことが喫緊の課題の一つだ。
高級バスは、旅行者を受け入れる地域で作る着地型商品やテーマ型商品の提案力を高める手段の一つでもある。将来的にはクラブツーリズムと近ツーがバスを共有したり、バスツアーを共同で企画し拡販したりするといった展開も視野に入れている。
団塊の世代(昭和22~24年生まれ)が平成19年に60歳の定年を迎え大量の退職者が出ている。この層がクラブツーリズムが狙う新たなターゲットだ。差別化した企画で豊富な個人資産を持つシニア層の消費をどのように呼び込むか。新たな歴史を刻み始めた同社の高級バスツアー戦略から、今後とも目が離せない。(産経新聞社 経済本部 臼井慎太郎)