走行モードは「エコ」「コンフォート」「ノーマル」「スポーツ」「スポーツ+」の5つから選択できる。神奈川県の箱根町を目指し、まずはノーマルモードで走り出した。エンジンの最高出力は351kW(477PS)/7100rpm、最大トルクは540Nm(55.1kgfm)/4800rpm(!)。初めのひと踏みから強力なトルクで2トン近い車体を難なく動かす。このレベルのクルマになると10メートル、いや5メートル走るだけでもパフォーマンスの高さが伝わってくる。ちょっと踏むだけでブインと加速。思わず「まだノーマルモードなんだけど…」と苦笑する。ミシュランの21インチタイヤを履く足回りは硬いが、不快なゴツゴツ感はほとんどない。
コップを置いても倒れない?
次にエコモードを試す。ハンドルフィールは軽めだ。エンジン出力が下がり、ストップ&ゴーを繰り返す街乗りでもガクガクと揺すられることなく、滑らかに走ることができる。低中速度域ではHVの方が扱いやすいだろうなと予想していたが、これなら何の気苦労もなく穏やかなシティドライブを楽しめる。
一般道で一番気に入ったのがコンフォートモードだった。とにかく乗り心地と静粛性が素晴らしい。これぞ日本の「おもてなし」-。路面の凹凸を巧みにいなし、突き上げは一発で吸収。ロードサーフェスのざらつきまで消してしまう。ダッシュボードの上にコップを置いて走っても水がこぼれないのではないだろうか…と思わせてしまうほどに上質な乗り心地だ。エンジン音も控えめで、車内は静寂な空間に早変わり。それでも必要に応じて踏んでやれば力強く走る。中速走行なら5つのモードの中で最も気持ちよく優雅に走ることができる。ドライブフィールは文字通りコンフォート(=快適性)を突き詰めた仕上がりで、LCのラグジュアリーな要素をじっくりと味わえるモードだ。着座位置が路面に近く、21インチの極太スポーツタイヤを履いたクーペでこの乗り味を実現していることはちょっとした驚きだった。ただ、低速域でブレーキを踏むとたまに「キー、キー」っと小さい“鳴き声”が聞こえてくるのが多少気になった。