+Rモードはバイクに近いフィーリング
小田原厚木道路を経由して箱根ターンパイクに入り、シフトレバー左に設置されたスイッチでドライブモードを「+R」に切り替える。ターンパイクから伊豆スカイラインを抜けて下田を目指す。
+Rモードはスロットルレスポンスやターボのブースト圧を上げ、ステアフィール重め、ダンパー硬めなど、スポーツ走行にフォーカスしたセッティングで、最もタイプRらしいモードである。
長い上り坂でアクセルを一気に踏み込むと、背中がシートにたたきつけられ、翼がついていたら離陸しそうな猛烈な加速を見せる。2500回転あたりからはターボ過給、5000回転を超えてからはVTECでバルブ制御が切り替わり、どこまでも伸びていく。回転の上昇とともに高まる乾いたエグゾーストサウンドも、スポーツカー然としていて気分を盛り上げる。まるでバイクのエンジンのようなフィーリングで、このまま1万回転まで回ったとしても不思議ではない。怒涛の加速に思わず「バケモンだ、コレ」とつぶやく。
ただし、このおいしさを味わえるのはほんの1、2秒だけだ。公道ではすぐに制限速度に達してしまい、アクセルを戻さざるを得ない。これを際限なく味わい続けたいのならサーキットで走るしかない。
熱い走りに体温も上がる
ゴーストップの多い市街地では鳴きに悩まされたブレーキも、山坂道では本領発揮。コーナー直前でガツンと制動、素早く減速でき、安全かつ軽快にワインディング走行を楽しめる。
ダンパーの減衰力も引き締まって、カーブでほとんどロールしなくなり、乗り心地はさらに硬くなるが、それでも不快というほどではない。
+Rモードではハンドルも重くなって、ハイペース走行で必要となる微妙な操舵がやりやすい。ハンドル越しのロードインフォメーションも多くなり、接地感が一段と増して、クルマと一体となって走っている感覚で満たされる。ハンドルを切っただけ曲がり、イメージ通りの軌跡でコーナーをクリアしていく。旋回時に前輪駆動であることのネガを感じさせないのは、ライバルのメガーヌやゴルフと同じで、「さすが世界で磨かれたFF最速マシン」と納得がいく。
時間を忘れ、夢中になって走らせていると、あっという間に伊豆スカイラインの終点、天城高原に到着。最寄りの観光スポット、大室山の駐車場で一息つき、ふと我に返ると、体温が少し上がっているような気がした。