富士屋ホテルを訪れる
ルーフを開けたドーンは豪華なキャビンも乗員の表情も露わとなるため、観光客の多い箱根では再び大注目を浴びることとなった。ここで変に恥ずかしがっても、逆にヘラヘラしていても見苦しいので、開放的な雰囲気や景色を楽しみながら堂々とドライブする。もうすぐ箱根駅伝の舞台となる東海道をゆったりと流していると、約140年の歴史を誇る「富士屋ホテル」に到着した。「ドーンを玄関前に止めて様になるホテルはここしかない!」と数日前に連絡したところ、ピークアワーを外すことを条件に撮影を快諾してくれたのだ。実際にドーンを止めてみると、どちらか一方が霞むこともなく、絶妙なバランスでお互いに引き立てあっている。
ホテル従業員が一人、また一人と表に出てきてドーンを囲む。「これはカッコいいですね」とモテモテのドーン。そんなホテルマンたちを眺めながら、「こういう時にふと素の表情を見せるところが、高級ホテルなのに気取っていなくていいよね。でも、誰一人としてスマホで撮影しないところはさすがプロ」と小島記者。この辺の親しみやすさが、長きにわたって「富士屋ホテル」が愛され続ける所以なのだろう。ホテルの利用客もドーンに興味津々の様子で、写真に収める人もいる。とにかくドーンは人々を惹きつける力と、みんなを笑顔にするオーラがある。こんな貴重な体験ができるのも、きっとロールス・ロイスを所有する喜びなのだろう。
運転中にこんなことも考えていた。「自分にこのクルマの価値が分かるのだろうか」と-。それでも個人的な感想を言わせてもらえれば、ドーンの最大の魅力は「自分らしさを表現できる唯一無二のオープンカー」だということだ。ラグジュアリーカーは高級・高性能でいわば当たり前。では、それ以外の付加価値は何なのか。その答えは「すべてをオーダーメードして、それを練達の職人たちが情熱とプライドを持って手作りしている」ということではないか。そこから生まれるのは、クラフツマンシップの流儀が息づく「本物の美しさ」と、完璧を求めるロールス・ロイス独自の世界観だ。
広報車には1000万円分のオプションが加えられていた。「ほとんどのお客様は平均してこのくらい使われます」というから仰天だ。そこまでこだわりを持って作り上げたドーンに大切な仲間たちを乗せて、オープンカーでワクワク感に満ちた時間を共有すれば、同じ道を別のクルマで走るのとはまったく中身の違うストーリーを楽しむことができるだろう。
※あす31日は試乗インプレの編集チームが選ぶ「カー・オブ・ザ・イヤー2017」をお送りします。お楽しみに。
■主なスペック ロールス・ロイス ドーン(試乗車)
全長×全幅×全高:5285×1947×1502ミリ
ホイールベース:3112ミリ
車両重量:2560キロ
エンジン:ターボチャージャー付きV型12気筒
総排気量:6.6リットル
最高出力:420kW(571ps)/5250rpm
最大トルク:820Nm/1600~4750rpm
トランスミッション:8速AT
タイヤ:(前)255/40R21(後)285/35R21
駆動方式:後輪駆動
トランク容量:321リットル
定員:4名
最高速度:250キロ/h(リミッター制御)
ハンドル:右
燃費:5.94キロ/L(筆者が満タン法で計測)
車両本体価格:3740万円