「あのゲームにいくらつぎ込んだ」と当時を懐かしむ男性がいたかと思えば、当時を知らない世代には新鮮なゲームに映っているようだ。ゲームを楽しんでいた京都市の男性会社員(47)は「親から何度も『遊んではダメ』と注意されたけど、ずっとゲームの世界に入り浸っていました。本当に懐かしい」と笑顔を見せる。
100円玉の入れすぎで硬貨が入らない…
スペースインベーダーが発表されたのは昭和53年6月16日。
しかし、当時営業を担当していた同社の石井光一会長(62)は「発売当初は、あまり期待していませんでした」と明かす。実際に遊んでみるとすぐにゲームオーバーとなってしまい、「これはお客さまにウケないだろう」と判断したという。
ところが、発売から1、2週間後、ある店舗からゲーム機が故障したと連絡が入った。調べてみると、100円玉を回収するコインボックスが硬貨であふれかえっていたことがわかった。「設定では千枚ぐらいは入るはずで、これはすごいことになっているとビックリした記憶があります」と振り返る。
スペースインベーダーは発売から約1年間で約50万台も出荷するアーケードゲーム史上最大のヒット作となった。
設置場所はゲームセンターだけでなく、高い収益性から喫茶店やスナック、駄菓子屋など「とにかくテーブルのある場所には設置した」と石井会長は指摘する。当時は年齢制限や営業時間の法的規制などもなく、24時間どこででもゲームができる環境にあり、ブームは瞬く間に日本中に広がっていった。「お金の回収に店舗を回りましたが、トランクに入れた硬貨の重みで自動車が大きく後ろに傾いたものです」と石井会長は当時の思い出を語った。