【経済インサイド】自動運転で先行する商用車の巨人・ダイムラー 次の一手は (2/3ページ)

  • 独ダイムラーは世界最大の商用車ショー「IAA国際モーターショー」のプレスデーで、車台が自動走行し人や物を運ぶ電気商用車のコンセプトカーを披露した=9月、ドイツ・ハノーバー(臼井慎太郎撮影)
  • 世界最大の商用車ショー「IAA国際モーターショー」には独フォルクスワーゲングループのトレイトンも出展。同社ブースには日野自動車の小型電気バス「ポンチョEV」が展示されていた=9月、ドイツ・ハノーバー(臼井慎太郎撮影)
  • 世界最大の商用車ショー「IAA国際モーターショー」は今後の商用車市場を占う前哨戦となった=9月、ドイツ・ハノーバー(臼井慎太郎撮影)
  • スウェーデンのボルボは世界最大の商用車ショー「IAA国際モーターショー」に近未来の物流を見据えた自動運転電気トラックのコンセプトカー「ベラ」を展示した=9月、ドイツ・ハノーバー(臼井慎太郎撮影)
  • 世界最大の商用車ショー「IAA国際モーターショー」のプレスデーで、自動運転機能を搭載した新型大型トラック「アクトロス」を紹介した独ダイムラー商用車部門総責任者のマーティン・ダウム取締役(中央)ら=9月、ドイツ・ハノーバー(臼井慎太郎撮影)
  • メルセデス・ベンツブランドのトラックを生産する独ダイムラーのヴェルト工場=ラインラント・プファルツ州(同社提供)
  • 独ダイムラーは世界最大の商用車ショー「IAA国際モーターショー」で、丸々2つのホールを占有し技術や商品力をアピールした=9月、ドイツ・ハノーバー(臼井慎太郎撮影)
  • 独ダイムラーは世界最大の商用車ショー「IAA国際モーターショー」のプレスデーで、自動運転機能搭載の新型大型トラック「アクトロス」を公開した=9月、ドイツ・ハノーバー(臼井慎太郎撮影)


 次に狙うのが、エリア限定で全ての操作が自動化される「レベル4」。ダイムラーが2014年にいち早く掲げた目標だが、目の前には法制度の整備を含めて多くの壁が立ちはだかる。

 トラック部門のピーター・シュミット戦略本部長は技術力を世界に示す好機となる20年の東京五輪・パラリンピックで「デモを行うことは可能だ」としながらも、実用化には慎重な姿勢だ。「レベル4で100%の信頼性を確保するためには、100万マイル(約160万キロ)に及ぶ走行試験を行う必要がある」という。

 ライバルの猛進

 自動運転技術の精度向上に向け意欲的なダイムラーだが、将来も“盤石”とは言い切れない。主導権争いが激化しているからだ。気を吐く1社が、トラック・バス部門の社名を「トレイトン」に変更した独フォルクスワーゲン(VW)グループだ。VWグループと日野自動車は4月、商用車分野で包括提携に向けた協議入りに合意。9月には、トレイトンと日野が電動トラックや電動技術の共有化を進めると発表した。

 ショー会場でトレイトンのブースに向かうと、同社傘下のブランドとともに日野の小型電気バス「ポンチョEV」も目に飛び込んできた。そこから日野との協力関係を進化させるという意欲が感じ取れた。自動運転をめぐって日野は、既にいすゞ自動車と基盤技術の共同開発に着手。トレイトンとは引き続き協力の可能性を模索中で、自動運転も検討材料に入っている。

 日野といすゞは、ともに25年度以降に「レベル4」のトラックを開発する目標を掲げている。いすゞは、自動運転車を造るための開発基盤を供給する米半導体大手のエヌビディアの技術を活用し、自動運転トラックの開発に加速する。

 英調査会社IHSマークイットによると、17年のトラック販売で上位2~5社を独占した中国勢も国策を追い風に自動運転で一気に追い上げる潜在力を持つ。3位の第一汽車は、運転手を必要としない完全自動運転が可能な「レベル5」の実現を目指している。

 稼げるサービス

 自動運転トラックは、乗用車よりも普及が早く進む可能性が高い。走行場所を高速道路などに限定しやすい上、先進国を中心に運転手の不足や高齢化に悩む運送事業者の切実な声が広がっているからだ。

「車両の性能だけでは次世代市場で勝ち残れない」