全国平均で8年ぶりに上昇 0.1%アップ 訪日客効果で店舗やホテルの需要高まる

公示地価
地価上昇率全国1位地点の大阪・心斎橋筋=大阪市中央区(竹川禎一郎撮影)

 国土交通省が22日発表した公示地価(平成28年1月1日時点)は、住宅地や商業地などを合わせた全用途の全国平均が前年比0.1%上昇(前年は0.3%下落)で8年ぶりに上昇した。商業地が前年の横ばいから0.9%上昇で全体を押し上げた。改善傾向は各地に広がり、「地方中枢都市」(札幌、仙台、広島、福岡の4市)の伸び率が東京、名古屋、大阪の三大都市圏を上回った。

 商業地の上昇は訪日客向けの店舗やホテルの用地需要が高まったため。主要都市ではオフィスビルの空室率が下がり、東京都心では好不調の境とされる5%を割り込んでいる。雇用情勢の改善や住宅ローン減税効果で住宅地も0.2%下落となり、6年連続で下落幅を縮めた。

 47都道府県別で商業地が上昇となったのは、前年の12都府県から16都道府県に増え、2%以上の下落は22県から9県に減った。

 全国で最も上昇率が高かった地点は、商業地が大阪市中央区心斎橋筋(45.1%)、住宅地はスノーリゾートを抱える北海道倶知安町(19.7%)で、いずれも訪日客などの人気が高い地域となった。

 全用途での地方中枢都市の上昇率は前年の1.8%から3.2%に拡大。三大都市圏(1.1%、前年0.7%)との差を前年より広げた。ただ三大都市圏以外の地方圏は、下落地点が全体の63.9%を占め、さらに地方中枢都市を除くと69.8%が下落するなど、回復が遅れている。