円急騰で一時107円台 日銀追加緩和見送りに失望 日経平均624円安
日銀が追加金融緩和を見送ったのを受け、28日の金融市場では急激な円高・株安が進んだ。市場関係者の間では日銀が追加緩和策を打ち出すとの期待が高まっていたため、「ゼロ回答」に失望が広がった。円相場は急騰し、ロンドン外国為替市場では一時1ドル=107円台後半と前日比で3円以上も円高ドル安に振れ、今月11日につけた円の対ドルでの年初来高値(1ドル=107円63銭)に迫る場面があった。東京株式市場では日経平均株価が急落、終値は前日比624円44銭安の1万6666円05銭と18日以来の安値をつけた。
追加緩和見送りが伝わったのは28日正午過ぎ。それまで1ドル=111円台後半で推移していた円相場はすぐに節目の1ドル=110円を割り込み、その後もじわじわと円高ドル安が進行した。追加緩和を想定して円を売っていた投資家が一斉に円買いに転じた。東京外為市場では円相場の高値と安値の差が3円83銭と平成23年10月31日以来約4年半ぶりの大きさとなった。
東京株式市場では、日銀の決定発表後に午後の取引が始まり、失望の売り注文が優勢となった。円高を嫌気して自動車などの輸出関連株が売られ、銀行株などの売りも目立った。この日の平均株価の高値と安値の差は919円に達した。
最近は原油先物相場や米国株式市場の堅調な値動きなどを背景に、金融市場は落ち着きをみせていた。そうした中での日銀の追加緩和見送りで、東京市場では円高株安への警戒感が高まりそうだ。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「外国人投資家が再び円買いや日本株売りに動く可能性が出てきた」との見方を示す。
当面は、発表が本格化している上場企業の平成28年3月期決算の内容と、5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や7月の参院選に向けた政策の動きが相場の方向性を占いそうだ。
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