G7 財政出動の対応はなお温度差 為替は争点化避ける

 

 20日開幕した先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、世界経済の下支えに向け、各国が政策を総動員して協調することで一致した。ただ、需要を喚起する財政出動については、日本や米国が積極的であるのに対し、ドイツなどは消極的な姿勢を通し、合意には至らなかった。為替については、急激な円高を懸念する日本と、「秩序だっている」とする米国との対立がくすぶる中、争点化を避けた。(中村智隆)

 「財政出動についていろいろな意見が出た。各国それぞれ、財政出動ができる国、できない国と、事情がある」。麻生太郎財務相は、初日の会合後の記者会見で、財政出動の議論についてこう振り返った。

 麻生氏は、日本の対応として「経済の需要を喚起するため、財政出動や規制緩和が考えられる」とアピールした。米国も余力のある国は財政出動すべきだとの立場を取っている。

 従来の“金融緩和頼み”の景気刺激策に限界がみられる中、財政出動や規制改革を合わせた政策の重要性が増している。

 これに対し、財政規律を重視するドイツは「(自国は)成長を維持している」(ショイブレ財務相)と財政出動に慎重で、会合でも同様の主張をしたもようだ。欧州連合(EU)離脱問題を抱える英国も消極的な姿勢にある。一斉に財政出動で足並みをそろえたリーマン・ショック時ほど世界経済は悪化していないとの認識も根強い。

 会合では、財政政策の中身や民間投資の重要性も話題になったという。

 為替については、大きな議論にならなかった。

 円相場は今月上旬に1ドル=105円台まで円高ドル安が進行し、麻生氏は「過度で無秩序な動きだ」として、為替介入も辞さない構えを示唆した。急激な円高は企業収益を悪化させ、日本経済に打撃を与えかねないからだ。

 これに対し、米国はルー財務長官が「市場は秩序的」と牽制(けんせい)。通貨安政策を行っていないかどうかをチェックする「監視リスト」に日本を指定するなど、これまで日米のさや当てが続いていた。

 この日の会合で、麻生氏は「通貨の切り下げ競争を避けることはG20(20カ国・地域)などでも確認されている」とする一方、過度な相場変動に懸念を示すだけにとどめた。

 為替介入に他の参加国の理解を得るのは簡単ではない。米国の利上げ観測が強まったことで、20日の円相場が1ドル=110円台前半で取引されるなど、円安傾向で落ち着いていることも影響した可能性がある。

 同日夜に会合の内容が報じられた後も、円相場は大きく動かず、市場の受け止めは限定的だった。