財政健全化、依然厳しく 働き方改革で民需活性化

 

 内閣府が26日の経済財政諮問会議で示した中長期財政試算は、財政健全化が依然厳しいことを浮き彫りにした。今後も景気刺激を経済対策などに頼り続ければ政府支出が拡大し、財政はさらに悪化しかねない。働き方改革などを通じて消費や企業活動を活性化し、民需主導の経済成長を実現することが不可欠だ。

 「財政健全化目標の堅持のため、600兆円経済の実現に向けた取り組みと歳出改革を加速する」。安倍晋三首相は諮問会議でこう強調した。

 試算では平成32年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字が5兆5千億円に達し、31年10月に消費税率を10%に引き上げても黒字化は遠い。このため、抜本的な構造改革で民間の成長力を高め、税収拡大につなげることが急務となる。

 諮問会議の民間議員も26日の会議で、構造改革を通じ、0%台前半にとどまる日本経済の潜在成長率を高めるよう提言した。

 具体的には、長時間労働是正や年功序列型の賃金カーブ見直しといった「働き方改革」を進め、労働生産性の向上や、少子化で減っている労働力の確保を後押しすべきだと提案。企業再編促進といった「産業構造の転換」も進めるよう求めた。これらにより潜在成長率が高まれば、32年度のPB赤字を4兆5千億円圧縮できるとしている。

 特に働き方改革に関しては「将来不安の解消が消費低迷の解消、少子化問題の解決にもつながり、一石三鳥にも四鳥にもなる」(大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミスト)などと、市場の期待が大きい。熊谷氏はサービス業の労働生産性が1割向上するだけで国内総生産(GDP)が7%押し上げられるとみる。

 近年、国内景気は政府の経済対策に下支えされている側面が強く、年度平均で5兆~6兆円の補正予算が組まれている。今後も景気浮揚を経済対策に頼る構図が続けば、税収が思い通り伸びない場合、赤字国債の発行に追い込まれ、日本の財政への信認はさらに揺らぎかねない。「公需」頼みからの脱却が急がれる。(山口暢彦)