日銀追加緩和 外堀埋められ…苦肉のETF買い増し “本命”は温存
政府や市場からの追加の金融緩和圧力が高まる中、日銀は上場投資信託(ETF)の買い増しという苦肉の策をひねり出した。“本命”の「量」と「金利」の切り札を温存しながら、大規模経済対策との「ポリシーミックス(政策の組み合わせ)」だけでなく、市場の沈静化にもとりあえず成功し、「難局をうまく切り抜けた」と評価する声も上がった。
「小粒の追加緩和」との失望感から、この日の日経平均株価は一時、300円超下げた。その後は「(国債の買い増しやマイナス金利の深掘りなど)『バズーカ緩和』を11月以降に打ち出す可能性を残した」(野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジスト)との好意的な受け止めが徐々に広がったため、終値は前日比92円高と反発した。
円相場も一時1ドル=102円台後半まで円高が進んだが、夕方には103円台後半まで円安方向に戻し、落ち着きを取り戻した。
「極めて緩和的な金融環境を整えていくことは、政府の取り組みと相乗的な効果を発揮する」
金融政策決定会合後の声明文には、事業費28兆円超の経済対策を打ち出した政府との協調という重要なメッセージも込められた。
黒田東彦(はるひこ)総裁は記者会見で「非常に時宜を得たものだ」と強調。麻生太郎財務相も「政府としても歓迎したい。デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けて、(日銀と)一体となって取り組んでいく」との談話を公表した。
「財政政策との協調という点で日銀は一歩を踏み出した。今後も政府との連携が強化されていく可能性を示唆している」。モルガン・スタンレーMUFG証券の山口毅エコノミストはこう評価した。
ただ、日銀は併せて公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、「財政の持続可能性に対する信認が低下する場合には、長期金利の上昇などを通じて、経済の下振れにつながる恐れがある」と言及。消費税増税を再延期した政府に対し、財政健全化を求める異例の一文を盛り込んだ。
黒田総裁は「(政権からの)圧力は全く感じていない」と強調したが、日銀内では「独立性が脅かされつつある」(幹部)との不満もくすぶる。今後は政府との距離感をどう保ち、協調していくかが問われることになる。?(米沢文)
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