日銀決定会合始まる 21日に「総括的な検証」公表 マイナス金利は? 白井さゆり氏「現状維持を」、伊藤元重氏「深掘りあり得る」
日銀は20日、金融政策決定会合を開き、3年半にわたる金融政策の「総括的な検証」を始めた。2%の物価上昇率目標に届かない原因を分析、物価を押し上げるために必要な手立てを議論し、21日に公表する。マイナス金利の深掘りなど追加の金融緩和に踏み切るかが最大の焦点となる。
検証では、国債購入とマイナス金利を組み合わせた現行の枠組みに一定の「効果」があると判断する方向だ。同時に、マイナス金利については、金融仲介機能の低下といった「副作用」も指摘するとみられる。
日本時間22日未明には、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果も判明する。日米の金融当局の判断次第で、金利や為替は大きく変動する可能性がある。
慶応大の白井さゆり教授と学習院大の伊藤元重教授に、日銀の検証での注目点について聞いた。
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白井さゆり慶応大教授「国債購入柔軟化は中途半端」
--日銀は総括的な検証で、マイナス金利政策の効果と副作用を分析する
「1月のマイナス金利政策導入の決定が、予想インフレ率を下げる方向に働いたことは明確。(国債などの)資産買い入れが限界との印象を与えてしまった。政策そのものというよりタイミングが悪かった。金融機関への打撃も大きく、低金利が良いことか分からない状態まできてしまった」
--当時の決定会合で反対票を投じたマイナス金利が主軸になる可能性が高い
「大規模資産買い入れができなくなった際の最後の手段にすべきだった。導入した以上、維持か深掘りしかない。現状維持で踏ん張り、来年初めに資産買い入れ減額とセットで打ち出すべきだ。年80兆円の国債購入量を70兆~90兆円に柔軟化するのは中途半端だ」
--物価上昇目標の2%がなかなか達成できない
「原油価格下落のせいだけでなく、政策に対する疑問が大きく出たのが原因。家計と企業は2%インフレを支持せず、分相応の消費や必要最小限の投資しかしていない。2%目標は掲げ続けながら、まず1%を安定的に実現させるべきだ」
--新しい金融政策は
「銀行債の購入があり得るかもしれない。外債購入は現実的ではなく、社債も市場が小さく需要が多いので買うべきではない」
【プロフィル】白井さゆり
しらい・さゆり コロンビア大院博士課程修了。平成23年4月から28年3月まで日銀審議委員。9月から慶大教授。53歳。東京都出身。
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伊藤元重学習院大教授「『量』から『金利』にシフトを」
--日銀がこのタイミングで総括的な検証をまとめる狙いは
「『2年で2%』の物価目標を達成できず、国債を大量に買う量的緩和は即効性はあるが、持続性を考えると問題が出てきた。マイナス金利が加わったことで、イールドカーブ(国債の利回り曲線)が平坦(へいたん)化し、金融機関の経営にも影響が出てきたためだ」
--国債の購入量を年80兆円から70兆~90兆円などと柔軟化すると、緩和の縮小と受け取られるのでは
「個人的にはマイナス金利の深掘りはあり得ると考えており、緩和を長期化するというスタンスをしっかり伝えることが重要だ。ただ、現行の国債買い入れはどこかで限界がくる。金融政策を『量』から『金利』へシフトしていくことが持続性を高める手段だろう」
--2%の物価目標にこだわるべきか
「経済学的には2%ぐらいの物価上昇が望ましい。そうなれば、企業の賃上げ率は成長産業で3~4%、伸びていない産業でも横ばいを維持できるからだ」
--ヘリコプターマネーや外債購入論が浮上している
「金融・財政政策の連動であれば議論されるべきだが、国の借金を日銀が肩代わりすべきではない。外債購入は為替操作と受け取られかねない」
【プロフィル】伊藤元重
いとう・もとしげ 東大経卒、米ロチェスター大院経済学博士号取得。東大院教授を経て平成28年4月から学習院大教授。64歳。静岡県出身。
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