政府与党 経済指標算出方法の見直しに着手 名目GDP 内閣府=490兆円、日銀=510兆円

 

 政府・自民党が、調査主体により異なる経済統計の精度を疑問視し、類似する統計の統合や見直しに向けて動き出した。データによっては誤った政策立案を招きかねず、「どこまで信用していいのか分からない」(山本幸三行政改革担当相)ためだ。ただ、野党からは「アベノミクスの成果を大きく見せたいだけなのでは」との声も上がる。

 13日に自民党本部で開かれた新経済指標検討プロジェクトチームの初会合で、座長の林芳正元農林水産相は「GDP(国内総生産)と皮膚感覚が合わないこともある。来春に(見直しに関する)一定のとりまとめをしたい」と強調した。

 講師を務めた経済同友会の経済統計に関する研究会座長の稲葉延雄リコー取締役も「経済統計改革をしなければ新興企業の伸びが見えず、経済が縮んでみえてしまう」と訴えた。

 実際、経済統計の数値は調査によって異なるケースが多い。平成26年度の日本の名目GDPは、内閣府の公表値では約490兆円(実質成長率マイナス0・9%)だ。ところが、日銀が7月にホームページ上で公表した論文では、同じ年度でも約30兆円多い約519兆円(同プラス2・4%)と開きは大きい。

 理由は算出法の違いにある。内閣府のデータが、設備投資や個人消費を積み上げているのに対し、日銀の論文では住民税や法人税の納付状況から経済規模をはじき出している。前者は国連の基準に沿ったもので、多くの国がこの算出方法を採用しているという。

 政府内では山本氏が「確かな根拠に基づく政策立案を政府に定着させたい」と見直しの必要性に重ねて言及。今月7日には、山本氏の肝入りで統計専門家らによる有識者研究会が内閣府に設置され、1年後をめどに方向性を示す予定だ。

 ただ、山本氏はアベノミクスの仕掛け人であり、その成果を目に見える形で示したいという思惑も透けてみえる。「統計見直しは、アベノミクスの失敗を糊塗(こと)し、経済成長を大きく見せるための方便ではないか」(民進党閣僚経験者)と見る向きもある。(松本学)