トランプ大統領のインフラ1兆ドル投資は反映されるか 4月の日米経済対話、日本企業受注に期待

 
米国内の主な日本企業関連事業

 日米両政府が4月中旬にも始める「ハイレベル経済対話」はトランプ米大統領が1兆ドル(約113兆円)の投資を表明したインフラ整備の協力が柱となりそうだ。高速鉄道やエネルギー関連事業が有望株(政府関係者)とされ、巨額のビジネスチャンスに日本企業は熱い視線を送る。ただ、海外勢との受注競争や資金調達の課題を抱え、政治的な思惑ばかりが先走りすることへの冷ややかな見方もある。

 ◆二兎を追う戦略

 「日本は高い技術力で大統領の成長戦略に貢献し米国に雇用を生み出せる」。2月の日米首脳会談後の共同記者会見で、安倍晋三首相はトランプ大統領らを前に猛アピールしてみせた。安倍政権が描くのは、日米の蜜月関係と日本企業の米国事業拡大という二兎を追う戦略だ。

 2012年の第2次安倍内閣発足以来、首相自ら売り込んできた新幹線への思い入れは強い。米国では日本企業が参画を目指す高速鉄道計画が3つあり、ダラス-ヒューストン間の計画ではJR東海の技術が採用される方向で話が進む。だが、同社の柘植康英社長が「1兆3000億~1兆4000億円の建設資金を集められるかが最大の課題」と指摘するようにハードルは依然高い。JR東日本が参画を目指すサンフランシスコ-アナハイム間は欧州などの10陣営が意欲を示し受注合戦が熱を帯びる。

 首相が共同会見で「ワシントンからトランプタワーのあるニューヨークまで1時間で結べる」と熱弁を振るったJR東海のリニア新幹線に至っては、まだ構想の段階だ。

 日本のエネルギー業界が注目するのはシェールガス由来の液化天然ガス(LNG)の増産だ。原油価格に連動しない米国産LNGの輸入が増えれば、原油高の局面でのリスクを軽減できる。米側にとっても、輸出拡大はトランプ政権が神経をとがらせる貿易赤字縮小につながる。将来有望なアジア市場の開拓に「日本の商社がノウハウを生かして支援できる余地がある」(業界関係者)と期待は高まる。

 米国には日本企業が建設中のガス液化基地が4カ所ある。テキサス州フリーポートの基地では、東芝が年220万トンの調達契約を結んだものの販売先確保が難航。「米国のための買い手探しが、結果的に経営危機に陥った東芝支援につながる」(同)との皮算用までささやかれる。

 ◆ミスマッチ埋まるか

 ただ、トランプ政権が旗を振る老朽インフラの修繕事業は採算性が低いものも多い。「案件次第だが、橋や道路の公共投資は(融資できる)ベースに乗るか難しい」(国際協力銀行の近藤章総裁)との指摘もある。

 トランプ氏が米東部から中西部のラストベルト(さびた工業地帯)での雇用創出を重視するのに対し「あえて投資先にラストベルトを選ぶだろうか」(財界関係者)との声も。次第に浮き彫りになるミスマッチをどう埋めていくか。日米経済対話が負う課題は重くなりそうだ。