だが万が一、安倍政権が何らかの形で中国側の要求をのんでしまえば、それは結局、「領土問題は存在しない」という日本側の大原則を放棄することとなる。それこそは日本にとっての「外交の敗北」であろう。
もちろんそれでも、中国側は攻めの手を緩めない。領土問題の存在を日本側に認めさせた上で、今度は次のような「妙案」を安倍政権に押しつけてくるのかもしれない。
それは、日中両国政府が「領土問題の係争」を確認した上で、尖閣諸島とその付近の海域を今後、両国の施政権がいっさい及ぼさない立ち入り禁止の「空白区域」にすることだ。そうすることによっていわゆる領土問題を再び「凍結」させて棚上げにする、という趣旨の案である。
一見「穏便」に見えるこのような提案も、尖閣に対する日本側の実効支配を切り崩すための詐術であるにすぎない。明治時代から現在に至るまで、尖閣諸島に対して施政権を実際に行使してきているのは日本の方だから、「施政権の凍結」は直ちに、尖閣諸島に対する日本の実効支配の終焉(しゅうえん)を意味する。