ただ、東京電力福島第1原発事故後の計画停電をきっかけに、他電力からスムーズに電力を融通できない現状が露呈。再生可能エネルギーを既存の送配電網で効率よく供給する必要もあり、専門委は発送電分離を導入する基本方針を12年7月に打ち出していた。
具体的には、電力会社の送配電網を広域的に管理する全国組織を設け、需給状況の監視や緊急時に地域間で柔軟に電力を融通できるようにした上で、電力会社の送配電部門を別会社化する。分離後も、大手電力との間で資本関係は残る。
実現すれば、大手電力が発電から送電までの事業を地域で独占する体制が崩れ、新電力会社(特定規模電力事業者)の参入に弾みがつきそうだ。
消費者にとってもメリットが大きい。現状では国が認可した電気料金で地域ごとの電力会社と契約するしか選択肢がない。専門委は、家庭向けの電力小売りを段階的に行う自由化案を大筋で了承しており、自由化が軌道に乗れば、料金メニューが多様化する可能性がある。