就任早々、量的緩和を強化するとみられる黒田東彦日銀総裁。「リフレ派」の手腕に注目が集まる=11日午前、国会・参院第1委員会室【拡大】
渡辺氏は竹中平蔵慶応大教授、中原元日銀審議委員ら4人の名前を推薦した上で、最後に岩田学習院大教授の名前を挙げた。この時点で岩田氏の日銀新執行部入りが内定した。ただ、渡辺氏は「黒田氏の起用はリスクがあります」とも述べたという。
日銀の正副総裁をセットで考えていた首相は、総裁に国際金融畑に強いリフレ派を求め、副総裁には組織を引き締められる人物を起用する考えだった。岩田氏のほかに残る2人は誰にするか。官邸主導の人事は、最終局面に入った。
官邸内では、黒田氏と岩田一政日本経済研究センター理事長を軸に人選が進んだ。首相や菅義偉官房長官と近い竹中氏の起用案も残っていたが、首相の盟友である麻生氏は「学者の総裁起用は駄目」と難色を示し、組織運営力の観点からも黒田氏が最有力となった。
生え抜きのエース
ただ、黒田氏には現職のアジア開発銀行総裁であるというネックがあった。
「日本は1966年の設立当初からアジア開銀の最大の出資国だ。借り入れ国側の中国から総裁が選ばれるとは考えがたい」