黒田新体制、日銀人事の舞台裏 「麻生氏との盟友関係」ですがる財務省、疑心暗鬼の霞が関 (5/5ページ)

2013.3.21 08:00

就任早々、量的緩和を強化するとみられる黒田東彦日銀総裁。「リフレ派」の手腕に注目が集まる=11日午前、国会・参院第1委員会室

就任早々、量的緩和を強化するとみられる黒田東彦日銀総裁。「リフレ派」の手腕に注目が集まる=11日午前、国会・参院第1委員会室【拡大】

 1月下旬、外務省の分析も交えた情報が首相側近にもたらされた。黒田氏を日銀新執行部入りさせた結果、アジア開銀トップの座を日本が手放すことになれば元も子もない。その懸念を打ち消す分析は、決定打となった。残るは1人。首相の考える組織運営力を持つ人物が絞り込まれていった。

 「丹呉(泰健元財務事務次官)さんを起用されてはいかがですか」

 昨年末、旧知の民間人は首相に内閣官房参与に内定していた丹呉氏の起用を薦めた。だが、首相は「丹呉さんは当面は自分のもとで働いてもらいたい」と即答した。副総裁のうち一人は、日銀生え抜き組から起用することが固まった。

 浮上したのが中曽宏理事だ。中曽氏は昨年11月、改正日銀法施行後初の日銀理事に再任された「日銀のエース」(野党幹部)。日銀で国際関係を統括し、国際金融界でも豊富な人脈を持つ。

 首相は今月5日、衆院本会議で強調した。

 「デフレ脱却に向け金融政策に関する私の考え方に理解をいただき、確固たる決意と能力で取り組んでくれる方、国際社会への発信力がある人を念頭に人選してきた。最適任の方々だ」(尾崎良樹、坂本一之、平尾孝、小川真由美)

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