ジャポニカ米の品薄が続くスーパーで、品ぞろえが豊富なタイ米が大量に積み上げられたコーナー。店員は「値段はこれまでどおり」と言うが【拡大】
風向きを変えたのが、タイ初の女性宰相が率いるインラック政権だ。富裕層や中間所得層が数多く支持する前政権の民主党に対し、インラック政権が支持基盤としたのは北部や東北部など貧困層が多く住む地域。主要産業はコメやゴム、キャッサバなどの農業で、貧困対策が急務とされる地域だ。
インラック政権が真っ先に取り組んだ施策の一つに、タイ米の「高値買い上げ政策」があった。「買い上げ」と呼ばれるが、厳密にはコメを担保とした融資政策。融資名目でカネを受け取っても、弁済する農家はないことから事実上の国による「農家優遇策」となっている。買い上げ政策は政権誕生直後の2011年10月にスタートし、間もなく1年半が経過する。
買い上げを通じた政府の大盤振る舞いには驚かされる。世界銀行のまとめによると、買い上げ価格は通常市価の5割増となる1トン当たり1万5000バーツ(約5万1000円)。
11~12年の収穫期でタイ政府が買い上げたタイ米は2170トンに達した。市価を上回る買い上げは国庫に過度な負担を強いる結果となり、同収穫期で発生した政府の損失額は最大で約5000億円にも上るという。