ぼく自身、東京のサイトを眺めていて3つのミスをおかしていると思う。
キャンペーン全体のなかでサイトは「些細なこと」と位置づけていると思われることが1つ。世界中に応援のうねりを作るに際して発揮するヴァーチャルメディアの効用を十分に理解していると言い難い。
たとえサイトを「些細なこと」とみなすにしても、「些細なこと」にこそコンセプトが如実に表現されることを見過ごしている。神は細部に宿るという。ディテールに拘ってこそ全体の輪郭が映えるというデザインでよく使われる表現だ。このルールは一般にも適用可能で、これがキャンペーン方針で徹底されていない。2つ目のミスだ。
最後の点は訴えるべき対象の絞り込みができていない。スコットさんが指摘するように115人の考え方に影響を与えることができるかどうかだ。開催候補国内の支持率はIOCの評価の一つで、子供が心を躍らすことも確かに支持向上に貢献するかもしれない。しかし国内向けドラえもん登用をIOCメンバーに見せる必要はない。
ブエノスアイレスでの最終プレゼンは9月7日である。
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6月15日(土曜日)にローカリゼーションマップの勉強会を開催します。今回のテーマは「『グローバル人材』って本当にいるの?」です。詳細は以下をご覧ください。→http://milano.metrocs.jp/archives/5873
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ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih