1949年からの日経平均月次収益率データでは、実は暴落前日の22日までの5月の月間収益率は768カ月の月間中、史上第4位だったのである。
つまり5月は「史上まれに見る」大暴騰をしていた。だからこそ大暴落が生じたのである。
しかしながらここからは、これまでのような一本調子の上昇相場は難しいだろう。(1)FRB(米連邦準備制度理事会)による金融緩和に支えられてきた米国市場で緩和姿勢に達成感が出始めたこと(2)インフレ目標の2%の達成度に対して、株価上昇のペースが早すぎ、好況感の持続が懸念されること(3)同様に国債利回りの上昇ペースに市場が神経質になっていること(4)23日に発表があった中国製造業PMI(購買担当者景気指数)速報値の7カ月ぶり50割れは、アジア株式市場全体を売りとした。
急激な円安は中国、韓国経済にマイナスの影響を与え、結局は日本の株式市場にフィードバックされることがわかった。本屋の「アベノミクス」本の異常な盛況は市場参加者の政策の未消化も示唆していたのだ。いずれにせよ当面の市場は注目の第3の矢の評価待ちなのである。ここからは金融政策だけでは不安定な市場が続くことになるだろう。(作家 板谷敏彦)