アフリカ・モロッコで栽培された唐辛子=2011年9月(小林桂の常深克典さん提供)【拡大】
「唐辛子の茎はある程度生育して高くなると、地面に陽が届かなくなり雑草も生えなくなる。それを知らないから、当時はあまりの違いに焦ってしまった」
ただ、そういう経験を積み、モロッコでのやり方があることにも気がついた。畝の間隔が日本と違うのは、モロッコの契約農家が、パプリカ栽培の経験を生かした結果。「農家の知恵」があると知った。
対中国を考える「切り札」に
2012年の生産面積は10ヘクタールに増えた。8月末から第1次の収穫がスタートし、雨期の始まる11月ごろまで続く。収穫して天日干しし、日本に輸入する。収穫量は20~30トンになる見通しだ。
5~10年後までに年間生産量を千トンまで見込むが、実は思わぬ効果も生まれているという。
欧州各国から唐辛子の生産量について問い合わせがあったのだ。唐辛子は欧州でも調理に使われ、中国に依存する態勢を不安視されていた。中国リスクへ切り札だけでなく、欧州への「輸出」も視野に入ってきた。常深は「今回と同じスキーム(仕組み)はほかの産物にも活用できるはずだ」と言い、カードゲームにたとえて中国依存脱却のやり方をこう説明した。
「リスクを軽減するために手札をたくさん用意しておくのは勝負の鉄則でしょ。カードを切るとみせかけながら相手と交渉する手立てにすればいい。そうすることで、日本の力を示すことにもなるはずだ。唐辛子がその一例になればいい」
(敬称略)