こうした食文化の違いが家電製品の仕様にあらわれた例として、炊飯器がある。保温時間に差があるのだ。熱々のご飯が好きな人々はご飯を炊いた後すぐ食べてしまう。
よって保温する時間が短い。反対にぬるい食事を好む人々は炊きたてにこだわらない。一度炊いた後、食べ終わるまで、ずっと長い時間ご飯を保温する。
「技術的に難易度が高いのは、ぬるい系の人たちへの対応です。マイコンで微妙に温度を制御できる日本で一般的なマイコン式炊飯器とは違い、まだインドネシアで一般的なのは、昔ながらのメカニカル制御のジャー炊飯器です。
こうした炊飯器でも、できるだけご飯の味を維持しながら長期間保温するか。そこに技術的な課題があります」と斎藤さんは解説する。
冒頭、インドネシアの例で家電の普及は熱い料理への好みを促すのではないか?とぼくは考えた。もしかしたら、そういう傾向もあるかもしれないが、大きな流れは逆だった。